第7話「恋人たちの予感」
暗喩表現で読み解く心理。
晴との食事の場で陸生は写真スタジオでのバイトに挑戦することを打ち明ける。
陸生が前向きになって行くことを喜ぶ晴。
一方、将来が見えず不安を抱える浪は、焦りから榀子に辛く当たってしまう。
浪との距離感を図れずにいた榀子は陸生に相談するが、思いがけない陸生の言葉に励まされ改めて浪と向き合おうとするのだった。
出典:TVアニメ「イエスタデイをうたって」公式サイト
今回の暗喩表現を以下の3シーンについてまとめます。
①高校にて浪と榀子
②浪の家にて浪と榀子
③榀子のマンションの前にてリクオと榀子

①高校にて浪と榀子
高校にて、浪が化学準備室の榀子を訪ねて行くシーン。
画面右:椅子に座った榀子は、服・白衣・椅子が全て白で統一されているのに対し、
画面左:立ったままの浪だけが真っ黒な学ランに身を包み、化学準備室の中で孤立している。

➡️榀子(化学準備室)の中の浪はまだ湧(ゆう)の弟なのに、浪自身はそれを認められず、榀子にとっての”何者か”になろうと孤立している様子の暗喩。


【②
浪の家にて浪と榀子
①で言い争いになってしまった2人だが、後日、榀子は穏やかに浪の家を訪れる。
この時の榀子の服装は、薄く青みがかった白のブラウスに、ミントグリーンのカーディガン、赤みがかったピンク色のスカート
浪が学ランの中に着ている服の色も
ミントグリーン。浪の頬の色は赤みがかったピンク色。
さらにそれらの色は、部屋にかけてある4月のカレンダーの桜並木の写真の配色そっくりで、芝生桜並木青い空に浮かぶ白い雲そのものである。

➡️①では白と黒の対立的な2人だったが、ミントグリーンとピンクの春らしい配色で統一されていて、2人が少し心を通わせる様子が描かれている。
➡️さらにこれまで湧の象徴として描かれてきた桜・春という季節を榀子が自然に服装に取り入れていることから、榀子の湧に対する捉え方が少し変化した(一歩前に踏み出した)ことが読み取れる。


【③
榀子のマンションの前にてリクオと榀子
浪に抱きしめられた後、リクオに会いに行く榀子。マンションの前で「湧くんのことは今でも忘れられない。でも私なりに整理をつけたつもりだった。前向きになろうと思った。でも中途半端だったと打ち明ける。
このとき背景には◯と□の灯りがともり、空には半月が浮かんでいる。

➡️禅の世界において、◯は「宇宙そのもの」、□は「とらわれた心」を表す。
□(=とらわれた心)はこれまで何度も描かれてきた榀子の心そのものであり、その□が◯になる途中で、まさに空に浮かぶ半月のように”中途半端”な状態になっている
つまり、榀子がとらわれた心から確実に一歩踏み出したのだが、まだ変化の途中にあることの暗喩である。


以上、今回の暗喩表現を考察してみました。
それぞれの解釈があると思いますのでこれが正解というつもりはありません。
セリフ以外の部分でアニメーションだからこそ見せられる心理描写が巧みな作品です。